Tuesday, 23 October 2012

敵対よりも友好を ― 教育現場での日中韓関係 ―


「これだから中国人は」,「北朝鮮きもちわるい」。多くの中学生はやはり中国や朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)に対してこのような見方をする。彼らがイメージする中国や北朝鮮はテレビで流される暴動デモをする人々や有名ブランドのニセモノを作る会社,一糸乱れぬ行進と大げさなほどに将軍様に忠誠を誓う人々である。すぐ傍に中国人の生徒がいる。在日3世,4世の生徒がいる中で,いとも簡単に中国や北朝鮮に対する悪態をつく。しかし,彼らに回りの友達を非難しようとかいじめようという観念が必ずしもあるわけではない。
(在日の生徒の場合は本人が民族名でいるか,周りに明らかにしていない限り気がつかない場合が多いが。)むしろ,歴史で日本の中国支配や朝鮮半島支配について述べれば「ひどい」「サイテーだ」という声があがるほどである。あまりにもその短絡的な感情と思考にこちらはかえって驚かされる。同時に,この時期の若者にどれほど回りの情報は無条件に受け入れられ,吸収されてしまうかということも考えさえられる。日本の若者は無防備なほど与えられたものを抵抗なく受け入れる。よく言えば純粋,無邪気ともなるが,悪く言えば何も考えていないということになる。
 では,わたしは社会科教師として彼らに何を伝えるべきか?ちょうど先月,勤務する学区の小・中学校の社会科主任が集まって協議する場があった。議題は夏休み中に行われた研修会の報告とその研修会で出た議題について話し合うというものであった。ちょうど8月に行われた研修会で緊急に配られた資料に,領土問題についての資料があった。からくも,尖閣諸島をめぐる日本政府の動きが近隣諸国を刺激する一大物議となった時期であった。
名古屋市の教育課程によると,小学校では「北方領土」は「わが国固有の領土」と明記されている。また続く文章には,「近隣諸国による領土問題や,北朝鮮による日本人拉致問題,核兵器開発や軍備を増強する国々がある問題など,今後解決していくべき問題を取り上げるとよい」とある。同じく中学校地理では,「地図で日本の領域を調べさせ,北方領土や竹島は日本固有の領土であることを確認させる」。「領土をめぐる問題について,周辺諸国との関係や経済水域に着目して考えさせ,発表させる」とある。同じく中学校歴史では,「日朝修好条規の内容から,日本の朝鮮半島進出のねらいについて考えさえる」。「日本周辺の地理に着目させ,沖縄県が成立するまでの経緯や,千島列島や竹島,小笠原諸島が日本の領土となるまでの流れをつかませる」とある。さらに中学校公民では,「領土問題については,地理的・歴史的背景を踏まえ,解決に向けた取り組みについて理解させる」。「国旗や国家は国の象徴であり,相互に尊重することが大切であることを理解させる」とある。市の教育基準はあくまで「北方領土」,「竹島(独島)」についての日本の所有権を前提に話を進めることを明記している。
しかし,国境とは何か。領土とは何か。尖閣諸島の領有をめぐる対立は中日だけでなく,台湾,フィリピン等も含む周辺各国の主張の絡み合いが長らくある。各国の主張が前面化したのは,確かに尖閣諸島近海での石油資源の発見によるところが大きい。だが,地下資源,経済水域をめぐるだけの対立であろうか。そうであったとしても,その領有のために国民の生活と安全,他国からの信頼を犠牲にしてまで,さらに近隣諸国への礼儀を欠いた対応をしてまで躍起になることであろうか。昨年からの震災に続き,国民を守らない政府の姿は誰の目にも明らかである。放射能汚染は政府の対応によってますます拡大され,国民は列島のなかで生きたままコンクリート詰めにされかねない状況である。復興のためという大義名分で進む増税に向けた動きでそこに追い討ちをかけるように大金を払って尖閣諸島を手に入れた。本来手を取り合って歩むべき中国や韓国からの反感を新たに国民のうえに乗せたのである。
昨今,どの学校にも教室には中国人の生徒も少なくはない。在日の子も地域こそ違いはあれ,少なくはない。彼らと一緒に同じ空間にいる生徒たちにわたしはどうして「尖閣諸島」が「竹島」が「北方領土」が日本の領土だと明言できよう。彼らに重要なことは今一緒に同じ空間にいて,同じ時間を過ごして,同じご飯を食べて,友達になっていくことである。そこに個々の違いこそあれ,友達として,級友として共に分け合うことを学ぶ。そんな教育の場になぜわざわざ対立を持ち込むことができよう。わたしが守るべきは,今また大人のおもちゃの取り合いに若者の友情の可能性が引き裂かれないようにすることではないだろうか。互いの友情を強くするために歴史を学び,地理を学び,現代社会のしくみを学んでいくはずである。それは相手への健全な好奇心を増すはずのものであり,決してえもいわれぬ言いがかりや偏見を増すものではないはずだ。



China, Korea with Japan(about territory conflict)

The recent conflict between China and Japan is so foolish. According to our city educational system, Senkaku and Takeshima are included in Japanese territory. But I don't think so and I should not say such things cleary. In our school, there are Chinese students, South-Korean students and North-Korean students togeather. So, as a teacher of social studies I have to teach them(especially Japanese students) not whether Senkaku, Takeshima are included in Japanese territory or in Chinese territory or in Korean territory but how we make and keep friendship eachother. Resent Japanese goverment bothers us a lot.

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